投稿者 : 鈴木 圭、投稿日 2019 年 11月11日

中世の雰囲気残るヴェローナで、ロミオとジュリエットの世界に誘われる

ミラノとベネチアのちょうど中間地点に位置するヴェローナ。人口およそ25万人とそれほど大きな街ではありませんが、古代ローマ時代の円形闘技場が遺されていたり、あの「ロミオとジュリエット」の舞台であったりと、なにかと見どころが多い街です。ミラノやベネチアからの距離も近く、北イタリアを旅するならぜひ訪れてほしいヴェローナ。その見どころをまとめてご紹介しましょう。

実はあの「ロミオとジュリエット」の舞台

16世紀にシェイクスピアによって書かれた「ロミオとジュリエット」。教皇派のカプレーティ家の娘ジュリエットと、皇帝派のモンテッキ家の息子ロミオの恋愛を描いた悲劇で、世界中の誰もが知る名作と言えるでしょう。しかし、その物語の舞台が北イタリアの都市ヴェローナであることはあまり知られていません。

実はこの話は実在する人物にかなりの脚色を加えて書き上げられたと言われており、カプレーティ家やモンテッキ家の邸宅は、現在もヴェローナの旧市街地に遺されています。(両家と教皇派・皇帝派の構図だけが事実で、ロミオとジュリエットは完全に架空の人物という説もあります。)

特にカプレーティ家の邸宅は「ジュリエットの家」という観光スポットとして開放されており、物語のファンや彼らの劇的な恋愛に憧れる人々でいつも賑わっています。

「ロミオとジュリエット」の舞台
ジュリエットの家はいつも多くの人で賑わう

ヴェローナにはこのほか、古代ローマ時代の円形闘技場や14世紀に建てられた城などがそのまま遺されていて、街を歩いているとイタリアの歴史を感じられる場所です。2000年には「ヴェローナ市街」として旧市街地全体が世界文化遺産に登録されました。

アディジェ川と街並みのコントラストが美しい
旧市街地を囲むように蛇行するアディジェ川と街並みのコントラストが美しい

古代ローマ遺跡にジュリエットの家、ヴェローナの見どころはたくさん!

ヴェローナの見どころはほとんどが旧市街地に集中しており、徒歩でも十分回ることができます。その中で、ぜひ訪れてほしい定番のスポットをピックアップしました。

恋の願いを叶えてくれる「ジュリエットの家」

ヴェローナで最も人気のある観光スポットといえば、おそらくこのジュリエットの家。これをきっかけにヴェローナに興味を持ったという人も多いのではないでしょうか。

先にも紹介したとおり、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」はかなりの脚色を加えて書き上げた創作と言われています。そのため、かつてここにジュリエットという女性が住んでいたのか、そして実際にロミオと恋に落ちたのか、今となっては知るすべはありません。

それでもジュリエットの家が人気を集める理由は、ここに恋の願いが叶うというジンクスがあるからでしょう。邸宅の中庭にはジュリエットの銅像があり、その左胸に触れると恋愛が成就するという言い伝えがあります。

ジュリエットの家
ジュリエット像の左胸に触れて記念写真を撮るのが定番

こんな感じで、中庭は願いを込めようとする人でいつも混み合っています。ヴェローナを「恋愛のパワースポット」として紹介しているメディアもしばしば見かけますが、それもこの人気ぶりを見れば納得ですよね。

邸宅の内部は博物館になっていて、ロミオとジュリエットにまつわる展示や、物語が生まれた当時の様子が再現されています。物語に興味があれば、ぜひこちらも訪れてみてください。

入口の壁面には恋の願いを込めた紙がびっしり!
入口の壁面には恋の願いを込めた紙がびっしり!

ジュリエットの家(Casa Di Giulietta)
住所:Via Cappello, 23, 37121 Verona
電話番号:(+39)045-8034303
営業時間:月曜13:30〜19:30、火〜日曜8:30〜19:30(定休なし)
料金:6ユーロ(ジュリエット像がある中庭は無料、ヴェローナカード使用可能)

古代ローマ時代の円形闘技場「アレーナ」

ヴェローナで「ジュリエットの家」と並ぶ観光の目玉といえば、この「アレーナ」です。古代ローマ時代に建造された円形闘技場で、当時は市民が剣闘士や猛獣の戦い、演劇などを楽しむ場でした。建造された正確な年代は明らかではありませんが、少なくとも紀元後30年頃には完成していたのだとか。ローマのコロッセオよりも半世紀以上早く完成したことになります。

アレーナ
ローマのコロッセオと同じく完全な姿ではないが、それがかえって歴史の長さを感じさせる

アレーナは古代ローマ時代の遺跡ですが、実は現在も現役で使われている劇場でもあります。特に毎年6月下旬から8月は野外オペラフェスティバルが開催されており、世界中からオペラファンが集まります。このほか、演劇やコンサートなども頻繁に行われているので、滞在期間に合わせて何かイベントがないか、探してみるのもいいかもしれません。

訪れた時はちょうどオペラの開催時期でした
訪れた時はちょうどオペラの開催時期でした

アレーナ(Arena di Verona)
住所:Piazza Bra, 1, 37121 Verona
電話番号:(+39)045-8005151
営業時間:月曜13:30〜19:30、火〜日曜8:30〜19:30(イベント開催時期は時間変更あり)
料金:10ユーロ(ヴェローナカード使用可能)

中世の雰囲気を味わえる「カステルヴェッキオ城」

アディジェ川のほとりに位置するカステルヴェッキオ城も、ぜひ訪れてほしいスポットの一つです。13〜14世紀にヴェローナで大きな力を持っていたスカラ家が築いた要塞で、中世ヴェローナの代表的な市民建築とされています。

その外見はまさにヨーロッパの城そのもの。少しミーハーな意見かもしれませんが、レンガ造りの城壁や6つもある見張り塔はそれだけで「かっこよく」、気づくとあちこちにカメラを向けることになるでしょう。城塞の裏手にはアディジェ川にかかるスカリジェロ橋があり、こちらも必見です。

カステルヴェッキオ城
500年以上も前に建造された橋だけど、今も現役で使われている

現在は美術館として開放されており、彫刻作品やモザイク画などが展示されています。ただ作品を並べるだけでなく、古城の中に迷い込みながら何度も立ち止まったり振り返ったり、空間と合わせて楽しめるよう工夫されているので、時間に余裕があればぜひ訪れてみてください。

カステルヴェッキオ城博物館
古城の中で美術作品が楽しめるという贅沢

カステルヴェッキオ城博物館(Museo di Castelvecchio)
住所:Corso Castelvecchio 2, 37121 Verona
電話番号:(+39)045-8062611
営業時間:月曜13:30〜19:30、火〜日曜8:30〜19:30
料金:6ユーロ(ヴェローナカード使用可能)

ヴェローナカードを活用して効率的に観光を

中世の街並みが色濃く残るヴェローナには、たくさんの見どころがあります。そのため、1日たっぷりと観光するのであればヴェローナカードを購入することをおすすめします。

1日しっかり観光するならヴェローナカードがお得
1日しっかり観光するならヴェローナカードがお得

ヴェローナカードとは、市内の交通機関や観光施設の入場チケットがセットになったカードのこと。ヴェローナは見どころのほとんどが中心街に集中していてアクセスしやすく、ついつい博物館などの入場料がかさみがちです。例えば「アレーナ」「カステルベッキオ博物館」「ジュリエッタの家」の3カ所だけで入場料は22ユーロになるので、しっかりと観光するのであればカードを購入したほうがお得になります(ざっくりとした概算ですが、3カ所以上見るのであればカードを購入したほうがお得です)。

ヴェローナカードは24時間有効券(20ユーロ)と48時間有効券(25ユーロ)の2種類があるので、滞在期間に合わせて選びましょう。カードは観光施設のチケット売り場で直接購入することができます。

ヴェローナでは、イタリアの米料理を満喫したい!

街歩きを十分に楽しんだあとは、やっぱりその土地の料理を楽しみたくなるもの。ヴェローナの郷土料理はお米と馬肉が有名です。それぞれ、代表的なものをご紹介しましょう。

赤ワインをたっぷりと使用した「リゾット・アルアマローネ」

リゾット・アルアマローネ
芳醇なワインの香りがたまらない

北イタリアは平原が多く水源も豊かなため、米どころとして知られています。特にヴェローナ地方で多く栽培されているVialone Nano (ヴィアローネ・ナーノ)は、べとつかずアルデンテの状態が長く保てることからリゾットに最適の品種とされています。

そんなヴェローナでぜひ試してほしいのがリゾット・アルアマローネ(Risotto all’Amarone)です。近郊のヴァルポリチェッラ地方で生産される赤ワインをたっぷりと使用したリゾットで、芳醇な香りと深いコクが楽しめる一品。作るのに手間がかかるためほとんどのリストランテでは2人前からの提供となりますが、見つけた際はぜひ注文してみてください。

赤身をほろほろに煮込んだ「馬肉のパスティッサーダ」

馬肉のパスティッサーダ
ほろほろに煮込まれた馬肉は舌の上でほぐれるやわらかさ

ヴェローナの馬肉料理の代表格と言えばこのパスティッサーダ(Pastissada di Cavallo)です。赤身肉をたっぷりのスパイスと赤ワインでほろほろになるまで煮込んだ料理で、一般的にポレンタ(とうもろこしの粉を練った料理、写真奥の黄色いペースト状のもの)と一緒に提供されます。

もともとは5世紀に東ゴート族と東ローマ帝国がヴェローナで争った際に食糧難になり、傷つき倒れた馬を食べたのがこの料理の始まりとされています。熊本県で馬肉が有名なのも同じような逸話があることを考えると、食の起源は世界中どこも似ているのかもしれません。

もちもちとした食感がたまらない「ビーゴリ・アル・ムッソ」

ビーゴリ・アル・ムッソ
ロバのソースはもちろん、パスタのもちもちとした食感が特徴

イタリアならやっぱりパスタという人は、ロバのミートソースを絡めたビーゴリ・アル・ムッソ(Bigoli al Musso)を試してみてください。この料理に使われているビーゴリというパスタはスパゲティを太くしたような形状をしていて、もちもちとした食感が特徴です。

ロバの肉と聞くと臭みが気になる人もいるかもしれませんが、実際に食べてみるとそんなことはまったくなく、誰にでもおすすめできる一皿です。イタリア語の前置詞の違いでビーゴリ・コル・ムッソ(Bigoli col Musso)と表記されている場合もありますが、全く同じ料理です。

ヴェローナは見どころが多く、コンパクトで歩きやすい街

ヴェローナはイタリアの他都市に比べるとツーリスティックな雰囲気もなく、コンパクトで歩きやすい街です。それでいて、ロミオとジュリエットのゆかりの地や古代遺跡、中世の街並みなど見どころは多く、観光地としては隠れた実力者と言えるでしょう。

落ち着いた雰囲気の中、古き良きイタリアの空気を感じることができるヴェローナ。北イタリアを旅行するなら、日程に組み込むことができないか検討してみてはいかがでしょうか。

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